ガングリオンとは
ガングリオンとは、内部にゼリー状の液体成分を含む腫瘤を指します。
手関節の背側(手の甲)に生じることが多く、手関節の手掌側(親指の付け根)のほか各指の付け根にできやすいとされています。
全身で生じうるものともされており、骨や筋肉、神経にできるガングリオンも存在するようです。
ガングリオンの中身は液体成分であるため、柔らかい腫瘤とされています。
大きさは様々であり、日によって大きさが変わることもあります。
腫瘤を自覚するのみの無症状が多いですが、神経の近傍に存在していると神経を圧迫して、しびれや痛み、運動麻痺などを起こすこともあります。
原因
ガングリオンは比較的女性に多いとされています。
関節を包む関節包から漏れ出た滑液がガングリオンに貯まることで腫瘤として認識されます。滑液はガングリオン内で濃縮され、黄色のゼリー状の液体になります。
診断
多くは診察を経たのち、穿刺吸引してゼリー状の内容物が同定されるとガングリオンと診断されます。
画像検査としてはエコーやMRが、存在を確認するためや他の疾患を除外するために用いられています。
エコー像
ガングリオンは滑液が満たされた腫瘤であるため、内部は無エコー均一であることが多いです。境界は明瞭ですが、弾性軟な腫瘤であることが多いため、輪郭はやや不整な場合があります。
ここから先はガングリオンと診断されたエコー像を提示します。
左足背を観察しています。
皮下組織内に径32×13㎜の腫瘤を認めます。
境界明瞭で、輪郭はやや不整、内部は無エコー均一、血流シグナルなし。
表在静脈との連続性は認めていません。
腫瘤の一部は関節と連続しているようにも描出されました。
左手背を観察しています。
左手を掌屈すると同定可能でした。
皮下に径16×14×8㎜の腫瘤を認めます。
境界明瞭で、輪郭整、内部無エコー、血流シグナルなし。
この腫瘤も手関節と一部連続しているようにみえました。
右手関節部を観察しています。
皮下に径12×10×6㎜の腫瘤を認めます。
境界明瞭、輪郭整、内部無エコー均一、隔壁を伴い、血流シグナルは認めません。
手関節と連続性があるように見えます。
この症例では、腫瘤の体表側直上に橈骨動脈が走行していたため、診察では動脈瘤が疑われていました。
正中神経とは離れた位置に存在していることがわかります。近年のエコー機器のプローブを用いると、主要な神経を同定することが可能となってきています。
参考資料
おわりに
ガングリオンの背景、原因、診断、エコー像についてまとめました。
ガングリオンは臨床上、見かけることの多い疾患です。特徴的なエコー像を理解していれば評価可能であると考えます。
閲覧いただきありがとうございました。