急性胆嚢炎とエコー像(Acute cholecystitis and the echo images)

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背景

急性胆嚢炎は、胆嚢に生じた急性の炎症性疾患を指します。

重症度分類により重症、中等症、軽傷の3つに分けられます。

重症の場合は臓器障害をきたし、呼吸・循環管理を行う必要があり、緊急的に胆嚢摘出やドレナージが施行されます。

中等症の場合は、臓器障害に陥ってはいないが、その危険性があるため速やかに治療が必要とされる場合。軽傷はそれ以外の急性胆嚢炎とされています。

   

急性胆嚢炎の死亡率は1%未満とされており、適切な治療がされることで完治する疾患であるといえます。

      

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原因

急性胆嚢炎の原因は85~95%が胆嚢結石とされています。結石の嵌頓による胆嚢管閉塞と胆嚢内胆汁うっ滞に伴い、炎症が惹起されます。

ほかには胆嚢の血行障害や化学的な傷害、細菌や原虫・寄生虫などの感染、アレルギー反応などが原因で発症されるとされています。

   

危険因子としては、加齢、性別(女性が多い)、肥満、妊娠・多産などが挙げられます。これらの因子では胆嚢結石ができやすいため、結石に伴う急性胆嚢炎も生じやすくなるとされています。

  

   

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病理学的分類

急性胆嚢炎は病理学的に5つに分類されています。

 

1.浮腫性胆嚢炎

発症から2-4日にあたることが多いとされています。

毛細血管・リンパ管のうっ滞を主体とする胆嚢炎で、胆嚢壁は鬱血し浮腫性となります。

エコー検査でよく遭遇する場合が多い状態だと思います。

  

2.壊疽性胆嚢炎

発症から3-5日にあたるとされています。

浮腫性変化したのち、組織への血流が途絶えて組織が壊死した状態です。

  

3.化膿性胆嚢炎

発症後7-10日にあたるとされています。

壊死組織に白血球が浸潤し、化膿し始めた状態です。

胆嚢は収縮傾向を呈しはじめ、炎症に伴う線維性増生のため胆嚢壁は再度肥厚します。

  

4.慢性胆嚢炎

胆嚢炎の緩やかな発作を繰り返すことで生じます。粘膜の萎縮と胆嚢壁の線維化が特徴です。

多くは胆嚢結石の慢性的な刺激が原因とされています。

   

5.慢性胆嚢炎の急性増悪

慢性胆嚢炎に生じた急性炎症です。

     

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合併症  

・胆嚢穿孔

急性胆嚢炎・外傷・腫瘍などにより胆嚢壁に穴があく状態ですが、急性胆嚢炎の生じる場合が最も多いとされています。

・胆汁性腹膜炎

胆嚢炎による胆嚢穿孔、外傷、各種治療後の合併症などが原因となり、胆汁が腹腔内に漏れ出して生じる腹膜炎とされています。

・胆嚢周囲膿瘍

胆嚢壁が穿孔し、胆嚢の周囲に膿瘍が形成された状態。

   

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検査

急性胆嚢炎は、①局所の臨床兆候と②全身の炎症所見、③急性胆嚢炎の特徴的画像検査所見の3つが診断基準として評価されます。

①局所の臨床徴候

 ・Murphy’s sign:胆嚢の存在部位を抑えると、激しい痛みを訴えて呼吸がしづらい状態。 

 ・右上腹部の腫瘤触知・自発痛・圧痛

②全身の炎症所見

 ・発熱、血清CRPの上昇、白血球の上昇

急性胆嚢炎の特徴的画像検査所見

 ・エコー:次項

 ・CT:胆嚢壁肥厚、周囲の液体貯留、胆嚢腫大、炎症を反映する線状高吸収域

 ・MR:胆嚢壁肥厚、胆嚢結石、胆嚢腫大

    

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エコー像

急性胆嚢炎では特徴的なエコー像が複数存在します。

全ての症例で、それぞれの所見が全て存在するわけではないですので、総合的に判断することが求められます。

代表的なエコー所見

・胆嚢腫大(長径8㎝以上、短径4cm以上)

・胆嚢壁肥厚(径4㎜以上)

・嵌頓した胆嚢結石

・デブリエコー

・sonographic Murphy’s sign:エコープローブによる胆嚢圧迫で生じる疼痛

・胆嚢周囲の液体貯留

・胆嚢壁の不整な多層構造を呈する低エコー帯(sonolucent layer)

・胆嚢壁の豊富なドプラシグナル

   


ここから先は急性胆嚢炎と診断されたエコー像を提示します。

胆嚢は腫大し、全周性の壁肥厚像が観察されます。sonolucent layerも伴っています。

内腔には多量のデブリエコーと小さな結石を複数認めました。胆管の拡張像は認めませんでした。

他の画像診断と組み合わせた結果、胆嚢腫大に伴うMirizzi症候群の可能性が疑われたため、抗生剤・絶食にて保存的治療ののち、胆嚢が摘出されました。

※Mirizzi症候群:胆嚢頸部や胆嚢管の結石による圧迫や、炎症性変化によって総胆管に狭窄をくたす病態。

     

胆嚢は腫大し、sonographic Murphy’s sign 陽性、胆嚢壁の全周性肥厚とsonolucent layerを認めました。内腔には径10㎜の結石とデブリエコーの充満像が確認されました。

胆管の拡張像は認めませんでした。

他の画像診断と組み合わせた結果、胆管内に結石はなく、外科的治療が施されました。

    

胆嚢は腫大し、胆嚢壁の全周性肥厚とsonolucent layerを認めます。

胆嚢管に径5㎜の結石(音響陰影を伴う高輝度像)が存在しており、結石の嵌頓が疑われました。胆嚢内にはデブリエコーが存在しているのがわかります。

手術の結果、頸部に黒色のビリルビン結石が嵌頓していることが明らかとなり、これによる急性胆嚢炎が生じたことがわかりました。

   

胆嚢は腫大し、胆嚢壁の全周性肥厚とsonolucent layerを認めます。

内腔には微小な結石数個とデブリエコーが存在していました。

胆管拡張は認めませんでした。

他の画像診断と組み合わせた結果、胆管内に結石はなく、外科的治療が施されました。

  

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参考資料

急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018

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まとめ

急性胆嚢炎の背景、原因、病理学的分類、合併症、検査、エコー像についてまとめました。

急性胆嚢炎は特徴的なエコー像が複数存在しているため、総合的に判断することが求められます

急性胆嚢炎を示唆する所見を見逃さないように努めることが大事ですね。

閲覧いただきありがとうございました。

   

   

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