はじめに
昨今話題となっている金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」に関して要点をまとめることにしました。
著明な専門家の方々がまとめた非常にわかりやすい報告書となっており、日本が直面している現実社会と、それに対処するための解決策に関して金融サービスという観点から記載されています。
これは我々個人に対しての警告であるとともに、金融サービス提供者に対しての警鐘でもあります。
この報告書が、『日本国民全員が豊かな人生、豊かな老後を生きるための方策を提示してくれている良著』であることは一読すればわかると思います。
特に37ページから記載されている【付属文書1】高齢社会における資産の形成・管理での心構え必読です。
「高齢社会における資産形成・管理」 要点
報告書は大きな枠組みとして3つのカテゴリーに分かれています。
ひとつめが背景と問題提起、ふたつめが解決方法の大枠、みっつめが実際の解決策です。
ひとつめ!
日本が直面する高齢社会の現況と予測、そこで暮らす我々の経済状況と金融リテラシーの低さ
ふたつめ!
我々個人と金融サービス提供者の双方が認識しておくべき長期的で計画的な資産形成
みっつめ!
個人と金融サービス提供者が行わなければならない対応を双方の目線から解説
それぞれのカテゴリーにおいて、確かなデータを交えて情報を提示してくれています。
ここから先は各カテゴリーの要約です。
重要だと思われるデータを共有させていただきます。
背景と問題提起
・高齢社会の弊害
長寿化や認知症に伴う金融サービス利用への支障
・労働者世代の経済的環境
収入・支出の伸び悩み、就労環境の変化と退職金給付の減少
・金融資産の保有状況
平均貯蓄額と日米の金融資産額推移比較
・金融環境に対する意識の低さ
老後に向けて準備している公的年金以外の資産
問題提起としては、
〝健康寿命が長くなってきた日本において、資産寿命を長くしないと安心した老後を過ごせないようになりますよ。
現在の日本経済は退職金や給料の上昇は見込めない経済状況となっていますが、若いうちから堅実な資産運用をしていれば、現在のアメリカの老人たちみたいに莫大な資産が形成されますよ。
現在の金融環境に対する問題意識を上げませんか?″
といったところです。
解決方法の大枠
いずれも個人と金融サービス提供者との双方への提言です。
・資金寿命を延ばすための長期投資・積立投資・分散投資の推進を!
・個々人のライフスタイルにあった資産形成を!
・公的年金に加えて、自助努力による資産形成を!
・認知・判断能力低下の前に事前準備と適切な対応を!
まとめると上記になります。
実際の解決策
我々個人に対しては、ずばり以下の通りです。
〝それぞれの年代に合わせてリスクヘッジを考慮した資産運用を″
詰まるところ、この一文が報告書の肝です。
自分の資産は自分で形成しましょう。みなさん金融の勉強をしましょう。
ちゃんとお金のことを家族で話し合いましょう。
そのための法整備は金融庁がどんどん進めています。
この報告書では我々に対してこういった金言を提示してくれています。
一方、金融サービス提供者に対しては以下の通りです。
〝顧客本位の業務運営の徹底、 サービスに見合う適切な対価の説明と請求″
つまり顧客の世代・年齢に適した商品、ふさわしいサービスを提供してください、ということです。
詳細に関しては報告書をご一読ください。
おわりに
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」に関してまとめました。
正面から報告書にぶつからないと真意を汲み取ることはできません。
ぜひご一読ください。良著です。