石灰化上皮腫とは
石灰化上皮腫とは、皮膚の一部が石灰化して硬くなる良性の皮下腫瘤を指します。
若年、特に小児の顔や腕、頸などに発生することが多いようです。
ほとんど無症状ですが、痒みや圧痛を感じることもあります。
触ると表面は凸凹していますが、境界は明瞭で可動性は良好です
石灰化の程度は様々であり、腫瘤全体が石灰化しているものから、微小な石灰化を含んだ腫瘤として存在するものがあります。
原因
発生する原因は明らかとなっていませんが、毛根に存在する毛母細胞を起源とする腫瘍とされています。
診断
診察である程度の判断が可能ですが、他の腫瘤との鑑別目的にレントゲンやMR、エコーが行われることがあります。
腫瘤内部の石灰化の有無が診断のポイントであるといえます。
エコー像
腫瘤の全体が石灰化している石灰化上皮腫の場合は強い音響陰影が認められ、内部の評価は困難であることが多いです。
腫瘤内に微小な石灰化が存在している石灰化上皮腫では、充実性腫瘤の中に微小な石灰化像が見られます。この場合は可動性の有無や臨床症状も参考にして評価します。
ここから先は石灰化上皮腫と診断されたエコー像を提示します。
左肘部を観察しています。
体表から2-7㎜の皮下組織内に径11×8×5㎜の充実性腫瘤を認めます。
境界は明瞭、輪郭整、内部は周囲と等輝度であり辺縁は低輝度、微小な石灰化(+)、血流シグナル(-)でした。
石灰化上皮腫が疑われる所見です。
左上腕部を観察しています。
体表から0.6-7.9㎜の皮下組織内に径9×8×7㎜の充実性腫瘤を認めます。
境界やや不明瞭、輪郭整、内部は周囲と等輝度、微小な石灰化(+)、血流シグナル(-)でした。
石灰化上皮腫が疑われる所見です。
右前腕を観察しています。
皮下組織内に径10×9×3㎜の腫瘤を認めます。
腫瘤表面に存在する高度な石灰化による音響陰影のため、内部の性状評価は困難でした。
可動性のある腫瘤であったため、石灰化上皮腫と考えました。
右側頭部を観察しています。
皮下組織内に10㎜大の充実性腫瘤を認めます。
境界は明瞭、輪郭整、内部は周囲と比較して低輝度、微小な石灰化(+)、血流シグナル(-)でした。
石灰化上皮腫が疑われる所見です。
参考文献
おわりに
石灰化上皮腫の背景、原因、診断、エコー像についてまとめました。
特徴的なエコー像と臨床所見を理解していれば、十分に他の疾患と鑑別可能であるといえます。
閲覧いただきありがとうございました。