はじめに
2019年6月に老後2000万円問題が世間を賑わせたことを覚えていますでしょうか。
金融庁から報告された金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」の内容のうちの一部が大きく取りだたされ、
“公的年金だけでは老後の資金が2000万円不足しますよ”
という内容が各種メディアを通して広まったものでした。
すごく印象的でキャッチ―な文章なので、一時の間に広まりましたよね。
報告書を実際に見てみると、本来の趣旨としては下記の通りであったように感じられます。
詳しくは過去の記事をご覧いただくと幸いです。
老後に安定的な生活を営むためには、それまでに資産を積み上げておく必要があることは当然のことですが、それよりもまずは行うべきことは年金制度に関して理解しておくことが何よりも重要です。
なかなか複雑なため、私も完全に理解できているとはいえませんが。
年末年始に実家へと帰省した際に、日本赤十字社の看護師として働いている姉から資産運用に関して質問されました。
使い道のないお金が銀行に余っとるから運用したいんやけど、なにからすればいいん?
NISAってなんなん?
確定拠出年金に自分からお金を出したら、税金が控除されるんやろ?
どうやってやるん? ・・・etc.
姉は資産運用に関しての知識をほとんど有していない状態でしたので、基本的な内容から話始めました。
あーだこーだと無駄話を含めて膨大な情報を伝えたため詳細は割愛させていただきますが、最終的に税制の優遇を得ることができる『つみたてNISA』と『個人型確定拠出年金(iDeCo)』、『日本赤十字社企業年金基金』への出資から始めることになりました。
前置きはさておき。
ここでは、年金制度の概要や『確定給付年金』と『確定拠出年金』の違いなどを、日本赤十字社企業年金基金を軸として記載しています。
日赤の看護師である姉を含めた、全ての日赤職員さんがこの記事を見ることで、ご自身の所属している団体の素晴らしい年金制度を理解することができることを期待しています。
年金制度の概要
まずは本邦の年金制度の概要です。
年金制度は大きく公的年金として私的年金に分かれています。
公的年金とは加入が義務付けられている年金制度、私的年金とは任意で加入する年金制度です。
私的年金は運用主体によって企業年金と個人年金に区別され、それぞれに複数の制度が存在します。
自分が所属している団体や企業がどの制度を採用しているかを理解しておく必要があります。
日本赤十字社の職員さんであれば、加入しているまたは加入することのできる制度は下図の赤地の部分となります。
ご自身がどの制度を利用しているのか、ご存知でなかった方も大勢いるのではないでしょうか。
下の図は厚生労働省に掲載されている年金制度の仕組み図です。同様に赤地の領域が日赤職員の対象部分です。
年金制度は3階建てといわれています。
1階部分の国民年金と、2階部分の厚生年金、さらに日赤職員であれば3階部分に確定給付年金と個人型確定拠出年金(iDeCo)、個人年金保険が該当します。
確定給付年金 DB(Defined Benefit plan)
日本赤十字社で働く正職員の方は「日本赤十字社企業年金基金」に加入しており、この日本赤十字社企業年金基金が確定給付年金を指します。
確定給付年金とは将来の受給額(Benefit)が確定(Defined)している年金です。
会社が資金の拠出から運用・管理、退職後の給付まで、すべての責任をもつ制度となっています。
基金の掛金は事業主および加入者により納められますが、事業主がより多くを納めています。
日赤の場合は、掛金の額は給与の額に応じて決まっています。
標準給与月額は事務局に問い合わせるとすぐにわかるものだと思います。
加入者が拠出する金額は所得控除の対象になると思われるため、資金的に余裕がある場合は満額拠出しておくべきだと思います。
将来の受給額に関してですが、月額で換算すると多くても10万円以下が一般的であるようです。また受給時期や需給期間などバリュエーションがあるため、ご自身に適した受け取り方法を選択することができます。
詳しくはこちらをごらんください。
日本赤十字社企業年金基金の財政を覗いてみました。
運用している商品は、公的年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のポートフォリオよりも債権に偏重しているため、非常に保守的な運用となっています。
このポートフォリオであれば、安心して基金に資産を積み立てていってよいなぁと感じました。
個人型確定拠出年金 DC(Defined Contribution plan)
日赤職員の方は個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)にも拠出可能です。
確定拠出年金とは拠出額(Contribution)が確定(Defined)している年金です。
加入者は毎月一定の金額を積み立て(掛金を拠出)、あらかじめ用意された金融商品で自ら運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取るといったものになります。
この場合、運用者は加入者自身になるため、運用方法に依り将来の受給額が変動します。
このイデコが優れている点は税制優遇にあります。
※ただし、年金であるため60歳まで引き出すことができないというデメリットもあります。
iDeCo公式サイトにイデコに加入可能か否かを鑑別するサイトがありますのでご確認ください。こちら
日赤のように確定給付年金を採用している企業では、月額1.2万円、年額14.4万円を拠出可能となっています。おおよそ年間3万円程度は手取りが増える計算となります。
口座を開設する金融機関はSBI証券、または楽天証券がよいでしょう。
姉にはSBI証券をおすすめしました。
ネット証券最大手であり、商品が豊富なうえに革新的な制度を次々にアップロードしてくれるので使いやすいです。
同時にNISA口座の開設も同じ金融機関で済ませておきました。
購入していく商品の情報に関してはこちらを参照ください。
長期での運用となるため、アメリカ、または全世界の株式へ投資するインデックスファンドでよいと考えます。
個人年金保険
個人年金保険に関しては皆さんご存知だと思います。
市中の銀行や保険会社などにて発売されている商品です。
既出の2つの制度と比較して、比較的多くの方が契約しているものと思われます。
これは各企業が積極的に我々個人へと売りかけているためです。
書類の作成から契約締結まで、全て保険の販売員がやってくれるので楽ですよね。
この個人年金保険に関しては、まったく話になりません。
契約しているのであれば、解約して他の金融商品(例えば投資信託)を購入して毎月積み立てたほうが、将来確実に増えています。
年金と銘打っていますが、あくまでも保険ですので個人よりも企業側が得をする可能性の高い制度です。
おわりに
日本赤十字社の職員が取り組むべき資産運用ということで、特に年金というポイントに絞って記載しました。
日赤の職員は国民年金、厚生年金のうえに分厚く乗せることのできる確定給付年金と個人型確定拠出年金(iDeCo)という制度を有しています。
どちらの制度も利用して、税制の優遇を受けつつ、老後のための確かな資産を作り上げていきたいですね。
同時にNISA口座を開設して、資産運用を始めることができると尚良しであると思っています。
閲覧頂きありがとうございました。
私の資産運用に関して経時的に公開しています。
参考になる部分があるかもしれませんので、是非ご覧ください。