はじめに
ここでは膵臓について記載しています。
解剖
膵臓は重さ60-100g、長径15-20cm、短径3-5cm、厚さ2cmの後腹膜臓器です。胃の背側に存在しているので、ちょうど心窩部から左肋骨弓下のあたりに位置しています。膵臓は大きく分けて頭部、体部、尾部の3か所に分類されており、頭部と体部の境界は上腸間膜静脈(SMV)の左端とされており、そこから尾部側の膵臓を2等分した領域それぞれが体部と尾部になります。
膵頭部で総胆管と主膵管は合流しており、胆汁と膵液はVater乳頭を介して十二指腸に分泌されます。膵頭部は第2腰椎の高さで十二指腸と接しており、膵尾部は脾臓と接しています。
主膵管の径は解剖学的に3.0-4.5㎜の太さが一般的とされていますが、エコーでみた場合は3.0㎜未満であることが多いです。

主膵管径が3.0㎜を超えてきた場合は、何らかの疾患が疑われるため、注意して観察したほうがよいと思われます。
膵臓周囲には複数の血管や神経叢、豊富なリンパ流・リンパ節が存在しています。そのため、腫瘍が存在する場合は、各種血管や神経叢への浸潤、リンパ節への転移が問題になってきます。
機能
膵臓の組織は95%が外分泌組織で、残りの5%が内分泌組織により構成されています。
外分泌組織
外分泌組織は腺房細胞と腺房中心細胞から成っています。
腺房細胞からはコレシストキニンやガストリン、副交感神経からの刺激により、αアミラーゼやトリプシン、キモトリプシン、リパーゼなどが分泌されます。これらの膵消化酵素は膵液として主膵管を流れ、十二指腸乳頭部から十二指腸内に分泌されることになります。
一方、腺房中心細胞からはセクレチンやVIP(vasoactive intestinal peptide)の刺激により、粘液や重炭酸イオンの主膵管への分泌が行われています。
内分泌組織
内分泌組織はランゲルハンス島として存在しています。
ランゲルハンス島はA細胞、B細胞、D細胞、PP細胞、G細胞、VIP細胞などにより構成されており、それぞれの細胞から以下に示す内分泌ホルモンが分泌されています。
- A細胞からはグルカゴン
- B細胞からはインスリンCペプチド
- D細胞からはソマトスタチン
- PP細胞からは膵ポリペプチド
- G細胞からはガストリン
- VIP細胞からはVIP
副交感神経の刺激によりインスリン、グルカゴン分泌が促進され、交感神経の刺激によりインスリンの刺激が抑制されることが知られています。
各種膵臓疾患
ここでは膵臓の疾患を列挙していきます。
各疾患の詳細に関して(できる限り)エコー像を交えて解説していきますので、リンクを参考にしてください。
びまん性膵疾患
・急性膵炎
・慢性膵炎
・自己免疫性膵炎
腫瘍性病変
・膵管癌(ductal carcinoma)
・腺房細胞癌(acinar cell carcinoma)
・神経内分泌腫瘍(neuroendcrine neoplasm)
・Solod-psudopapillary neoplasm
・膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductalpapillary mucinous neoplasm)
・漿液性嚢胞腫瘍(serous cystic neoplasm)
・粘液性嚢胞腫瘍(mucinous cystic neoplasm)
・転移性膵腫瘍
おわりに
膵臓の解剖、機能、各種疾患に関して記載しました。
皆様の参考になれば幸いです。
閲覧いただきありがとうございました。