門脈ガス症とは
門脈内にガス(空気)が存在するものを指します。
通常では門脈内にガスを認めることはありませんが、特定の条件下では存在することがあります。
エコーでは門脈内に移動性を伴うキラキラした粒が存在した場合に疑うことができます。
胆管内のガス(胆道気腫)と似ているため、誤った判断を下さないように注意する必要があります。
原因
門脈ガスの原因として最も重篤なものとしては腸管の虚血や炎症、壊死によるものです。
腹痛を伴うことが多いので、門脈ガスを認めた場合は腸管の評価も必要になります。
また、極度の便秘による腸管内圧の上昇により門脈内にガスを認める場合もあります。
診断
エコーやCTで診断されます。
腹痛を伴う場合は腸管虚血や壊死の可能性を考慮し、造影CTによる精査が必要となることもあります。
エコー像
門脈ガス症のエコー像の特徴を以下に挙げます。
1.門脈内を経時的に移動する高輝度像が存在している。
2.肝内門脈に沿って高輝度像がびまん性に存在している。
3.胆管内のガス(胆道気腫)と混同しないように注意する。
門脈ガス症のエコー像を提示します。
右肋間から門脈を観察している像です。
Mモードを門脈に使用し、経時的に流れるガスを可視化しています。
Mモードの黄色矢印はガスの存在を示しています。
同一症例の肝臓を心窩部からみています。
肝内にびまん性に高輝度像が多数存在していることがわかります。
門脈ガスは肝内門脈の末梢まで移動するため、びまん性に高輝度像を呈することが多いです。
右肋間から肝臓をみています。
こちらの画像でもやはり肝内に高輝度像を多数認めています。音響陰影は伴っていません。
非常にわかりづらいですが、黄色矢印で示されるものがガスです。
実際には経時的に移動している高輝度像が門脈内を走行するため、見逃すことはほとんどないと思われます。
参考文献
おわりに
門脈ガス症の原因、診断、エコー像についてまとめました。
画像診断の入り口になりやすいエコーを用いて門脈ガスを指摘することは、比較的容易なことだと思います。抜かすことなく報告しておきたいものです。
閲覧いただきありがとうございました。