背景
総胆管結石は胆汁の通り道である胆管に結石があるものを指します。
結石により胆汁の流れが滞り、細菌感染を起こすことで胆管炎を引き起こし重篤な症状を引き起こします。
胆管炎に関してはこちらを参照ください。
原因
胆嚢の中にできる結石のおおくはコレステロールが主成分のコレステロール結石です。
一方、胆管内で生じる結石のおおくはビリルビンカルシウム結石などの色素胆石とされています。
胆管結石は、胆嚢で作られた結石が胆汁とともに流れ出て生じる場合がほとんどであり、まれに胆管内で作られる場合もあります。
つまり総胆管結石のおおくはコレステロール結石であるため、音響陰影を伴う結石が胆管内にみられることになります。
検査
黄疸、腹痛、発熱や意識障害、低血圧などの臨床症状と血液検査(肝胆道系酵素上昇)からまずは総胆管結石が疑われます。
画像検査ではUSやCT、MRCP、ERCPが施行され診断されます。
エコー像
総胆管結石はエコーで直接胆管内の結石を描出することができれば、それだけでほぼ診断可能ではありますが(実際には複数の画像検査が施行される)、消化管ガスや皮下脂肪の影響により、胆管結石そのものを指摘できないこともよくありえます。
しかしこの場合、総胆管や肝内胆管の拡張像を指摘することは可能であるため、胆管結石が見えない場合でも間接所見をしっかりと確認し、他のモダリティで評価してもらう必要があります。
ここから先は、総胆管結石と診断されたエコー像を提示します。
総胆管は肝門部から胆管下部にかけて径11mm程度とびまん性に拡張しています。
胆嚢の腫大や壁肥厚はみられません。
総胆管下部に高輝度エコー(黄矢印)が存在しており、総胆管結石が疑われた症例です。
総胆管内にもやもやしたエコー像がみられます。
胆汁がうっ滞し、胆泥の存在が疑われるエコー像です。
総胆管の拡大と、肝内胆管が若干目立ちます。
総胆管下部に高輝度なエコー像が存在しており、総胆管結石が疑われます。
胆嚢は腫大し、内部に結石と胆泥が存在しています。
肝内胆管、総胆管は明らかに拡張しています。
胆管下部に音響陰影を伴う結石が存在しており、総胆管結石が疑われます。
胆嚢壁は肥厚し、胆嚢は緊満しているように見えます。
総胆管の拡張と、肝内胆管がやや目立っています。
胆管下部まで描出すると、音響陰影を伴う結石(黄矢印)が認められました。
参考資料
おわりに
ここでは総胆管結石の背景、原因、検査、エコー像についてまとめました。
総胆管結石は胆管炎を誘因し、重篤化する可能性のある注意すべき疾患です。
直接的に胆管結石を指摘できることが1番ですが、描出できずとも間接的な所見を見逃さないように配慮した検査を心掛けたいですね。
閲覧いただきありがとうございました。