概要
馬蹄腎(Horseshoe kidney)は、腎臓の先天的な異常の一つであり、正常な腎臓が癒合して馬蹄状の形状を呈する状態を指します。
この異常は胚期の腎臓の発育過程で起こるものであり、比較的稀な疾患です。
形態
馬蹄腎は、通常の腎臓の位置に近い位置にある2つの腎臓が下部で癒合し、馬蹄形を作ります。
この癒合部分は通常、脊柱の前方に位置しており、血管や尿路の構造に影響を与えることがあります。
症状
馬蹄腎は多くの場合、症状を引き起こしません。しかし、以下のような症状が現れることもあります。
- 尿路感染症: 合体部分の解剖的な特異性や尿路の排尿障害により、尿路感染症が頻繁に起こることがあります。
- 尿路結石: 尿路結石が形成されやすくなることがあります。
- 先天性異常: 馬蹄腎は他の先天性異常と関連して出現することがあります。
検査
馬蹄腎の診断には以下のような検査が行われます。
- 超音波検査(エコー検査): 腎臓の形状や位置、合体部分の構造を評価するために行われます。
- CTスキャン: 詳細な腎臓の解剖構造や血管の状態を評価するために行われます。
管理
馬蹄腎の管理には以下のようなアプローチがあります。
- 症状管理: 尿路感染症や尿路結石の予防や治療が行われます。
- 追跡観察: 馬蹄腎自体に重大な合併症が生じない場合は、定期的な観察が行われることがあります。
予後
馬蹄腎の予後は合併症の有無や重症度によって異なります。
多くの場合、症状がない限りは比較的良好な予後となります。
エコー像
エコーでは通常の腎臓の位置にある2つの腎臓の尾側が、脊柱の腹側で癒合している像が観察されます。
たとえば右腎の全体像を観察していくうちに、気付いたら腹部正中あたりまでプローブを動かしている、といった具合で診断することが多いです。
左右の腎臓を観察するだけでは癒合している部分は観察されません。
上の図では両腎ともに下極部分が明瞭に描出されていないことがわかります。
腹部正中までプローブを移動させると腹部大動脈(矢印)の腹側に低エコーな領域(点線)が帯状に繋がっていることがわかりました。左側が横断像、右側が縦断像になりますが、癒合した腎臓と考えられる低エコーな領域は腹部大動脈や脊柱の腹側、腸管の背側に存在していることがわかります。
少しだけ腹部正中から左右に移動させると、低エコーな領域が両腎と連続している像が観察されます。
ドプラ法を用いると癒合した腎臓内に血流が存在していることがわかります。
パルスドプラを使用して、同部位と腎臓内の血流波形とを比較することで癒合した腎臓であることを確認することが可能です。
結び
以上が、馬蹄腎についての基本的な情報とエコー像になります。より詳細な情報に関しては最新のガイドラインを参照することにしてください。