大腸憩室炎とは
大腸憩室炎は憩室内の細菌感染や虚血により限局性の痛みが生じるものを指します。
大腸憩室を有する方は珍しくないですが、その5%程度で大腸憩室炎や出血を起こすといわれています。
大腸憩室炎の痛みは限局性であることが多く、憩室部分とその周囲脂肪織の炎症に由来します。
原因
大腸に憩室が生じる原因としては、便秘等による大腸内圧の上昇や腸管壁の脆弱性に起因するとされています。憩室自体はS状結腸で多くみられます。
憩室炎は先述のとおり、大腸憩室内の細菌感染や虚血が原因で生じます。
診断
腹部造影CTが最も有用とされていますが、感度・特異度は下がるもののエコーでも指摘することは可能です。
主に画像診断による診断されます。
エコー像
大腸憩室炎のエコー像の特徴を以下に挙げます。
1.腸管壁から突出する憩室の存在
2.憩室周囲の脂肪織輝度の増強
3.膿瘍形成の有無を確認
大腸憩室炎のエコー像を提示します。
上行結腸の腸管壁から突出する憩室が存在します。憩室内には高輝度像が充満しており、糞石の存在が疑われます。憩室周囲の脂肪織輝度は増強しており、憩室炎が疑われます。
同部位に疼痛があるか否かを尋ねることも参考になります。
S状結腸の腸管壁から突出する憩室が存在します。憩室内は低輝度均一で周囲脂肪織の増強を認めます。
上行結腸の腸管に対して長軸で描出した場合でも突出する憩室を確認することができます。
S状結腸の憩室炎です。疼痛部分を観察することで指摘することは可能です。
痛みが強い場合はプローブによる圧迫を加減するなど配慮が必要だと思います。
下降結腸からS状結腸あたりの憩室炎です。憩室が2ケ並んでおり、その周囲の脂肪織輝度が明らかに増強しています。
上記画像の少し角度を変えた見え方です。
S状結腸の憩室炎です。腸管壁から突出する憩室と周囲脂肪織の輝度がやや増強していることがわかります。
参考資料
おわりに
大腸憩室炎の原因、診断、エコー像についてまとめました。
診断するうえではCT検査が最も重要とされていますが、まずは身体に負担のないエコーでしっかりと指摘しておくことは重要と考えます。
憩室炎のエコー画像は見慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、ここに挙げた画像が少しでも参考になれば幸いです。
閲覧いただきありがとうございました。