はじめに
2019年9月末に小学低学年の児童が行方不明になる事件が発生しました。
母や姉、友人家族らと約30人で訪れたキャンプ場にて、少し目を離した間にいなくなっていたとのことです。時間にして20分ほど。10月5日現時点でまだ見つかっていません。
キャンプ場は山に囲まれており、茂みが多く、捜索は非常に難航しているとのこと。
親御さんにおかれましては精神的・肉体的な疲労が絶えず、心苦しい日々が続いていることでしょう。
今回の事件、子をもつ親であれば誰しもが経験する可能性のある事案と考えます。
子というのはだれしも、親の考えが及ばないような行動をとる未知の生物です。ましてや遊びに夢中になる年頃の子においては、少し目を離すといつのまにか遠くにいってしまうものであると認識しておく必要があります。
だからこそ、自己で生存できるほどに成長するまでは親の庇護が必要なのでしょう。どんな事件に巻き込まれるかわからない時代ですので、過保護すぎるくらいがちょうど良いのかもしれません。
いい塩梅で接したいところですが、悩ましいですね。
今回の事件から学んだことは、子の存在位置を把握する手段を持っておくことは必要ではないか、ということです。
レジャーとしてキャンプやハイキングなどで山奥や海岸に行くことは少なくありません。
ディズニーランドやUSJなどのアミューズメント施設に行くことも増えるでしょう。
大型ショッピングセンターには毎月訪れています。
いつも子と逸れてしまう危険性があるものの「まあ大丈夫だろう」、「見ていれば大丈夫、大丈夫」。そういった考えは普通であり、否定されるものではありません。私ももちろんそうですし、誰しもがそうであると思います。
しかしながら、こうした状況で迷子が発生した場合、非常に焦ることは間違いありません。
私に至っては、ほんの数m離れただけでも恐らくそわそわしてしまうのが簡単に想像できます。
ということで、この頁では『子どもに装着することができ、親のスマホで簡単に子の存在位置を把握することのできる位置情報観測機器はあるのか?』ということについて調べてみました。
デバイス
どのようなデバイスがあるのかを挙げていきますが、あくまでも私が調べられた範囲内の情報になります。他におすすめの方法があれば教えて頂きたいところです。
- Otta
- みまもーら
- GPS BoT
- まもるっく
- キャリアのキッズ携帯
Otta
『Otta』は株式会社Ottaが提供する見守りサービスです。リンクはこちら
子どもや高齢者が身に付ける専用端末「Otta.w」「Otta.s」「Otta.b」に対して、位置情報がわかる仕組みを加えたサービスとなっています。専用端末はGPS端末ではなく安価なビーコン端末です。
ビーコン端末とは標識、のろし、無線標識などの意味を持つ英単語であり、定期的に周囲に向けて電波などを発する装置を指し、その信号を受信した電子機器などが現在地や方角、進行方向などを知ることができるものです。
http://e-words.jp/w/ビーコン.html
ビーコン自体には衛星測位機能を持っていませんが、スマートフォンの衛星測位機能と組み合わせることで、位置情報を活用した行動記録が可能となっています。
衛星測位機能は準天頂衛星システムである「みちびき」が利用されており、日本の位置情報に特化したものなので非常に精密な情報を得ることができます。
Ottaの端末
端末は「Otta.w」「Otta.s」「Otta.b」の3種類です。
いずれも非常にコンパクトで身に付けやすい端末になっています。
充電は不要で軽く、防水なため子どもが身に付けるのに適したものといってよいかもしれません。
実際は非常時に身に付けておかなければいけないため、Otta.wを首からかけておく運用が最も良いと考えます。ホイッスルなので防犯にもなります。
見守りシステム
①
見守られる側(子ども)は専用端末を常に持ち歩く。
②
専用端末から常時出る電波をキャッチする見守りネットワークを構築します。
見守りネットワークは見守り基地局と専用アプリをインストールしたスマートフォンを持っている人(見守り人)で構成されます。
③
学校や公園、通学路などに整備された検知ポイントを通過する時に位置情報が記録されます。
見守り人とすれ違う時にも位置情報は記録されます。
※ただし、見守り人にはすれ違ったことは通知されません。
④
専用アプリまたはWEBサイトにて子どもの行動履歴を地図で確認することができます。保護者のニーズにあわせて、スマホやメールに通知することも可能です。
提供エリア
現在Ottaが提供されている地域は限られており、今後自治体や企業と連携して提供先が広がっていくことが期待されます。
関東では渋谷、千代田、世田谷、府中、春日部、市川、関西では箕面のみ、中国では広島が提供先となっています。
関連サービスとして、OTTADE!とQottabyがあります。
方言でわかると思いますが、OTTADE!は関西、Qottabyは福岡で提供されています。
OTTADE!は四条畷市と交野市で、Qottabyは福岡市早良区、東区、中央区と粕屋郡の久山町で提供されています。久山町は色々な領域で注目されていますね。
費用
費用に関して調べられた限りでは、月額500円程度、事務手数料2000円程度と安価な設定となっているようです。
みまもーら
『みまもーら』は株式会社みまもーらが開発したIoT無得ネットワークLoRaとGPSを搭載したリストバンド型の見守り機器です。
LoRaは電波が飛ぶ範囲が広く、省電力性に優れているのが特徴とされています。『みまもーら』の電波は約10km届くとされており、バッテリーは10年間使用可能であるようなので、電池交換の必要性は低そうです。
時計のように腕に装着するデバイスであり、生活防水に対応しているため、日常的に使用できます。
対象は高齢者とされていますが、子どもにも対応できる商品であると考えます。
バンドに内蔵された電波発信機の電波を様々なポイントに配置された受信機が検知、場所を特定・位置情報を送信します。
もしもの場合にはスマホで“探すボタン”を押すだけで、すぐに捜索モードに入り、最後に検知された位置情報が表示されます。
腕に付けるデバイスなので、学校生活などでは目立つかもしれません。足につければよいか?
いずれにしても2019年10月現在は出荷停止状態のようです。今後の発展が期待されます。
GPS BoT
『GPS BoT』はビーサイズ株式会社が提供する位置情報から子どもをみまもるAIロボットです。リンクはこちら
GPS BoTは、高精度なトリプル測位エンジンを搭載しています。 GPSの電波だけでなく、WiFiアクセスポイントや携帯基地局の電波も感知するため、一般的なGPS端末では難しかった屋内や地下での位置特定も可能となっています。
GPS BoTの特徴としては子どもの生活習慣を学習することで。 使用開始後、1週間程度で自宅や学校を特定し、週1回の塾や習い事などは1ヶ月程度で学習するようです。GPS BoTのソフトウェアは自動的に最新版に更新され、性能が向上していきます。
GPS BoTの端末
端末は幅5.0cm、厚さ1.9cm、重さ46gの小さな箱型のデバイスです。
このままカバンにいれておくのも良いと思いますが、適当なケースに入れて首から下げることができれば、なお素晴らしいと思います。
端末の詳細はこちらをご覧ください。
見守りシステム
①
見守られる側(子ども)は専用端末を常に持ち歩く。
②
GPS BoTは子どもの現在地を捉え続けます。
BoTの人工知能が常に現在地を把握し、出発や到着をお知らせする他、普段行かない場所に行くと、スマホに自動でお知らせします。
親はスマートフォンと無料専用アプリを準備するだけです。
提供エリア
ドコモ3G、FOMAエリアにて通信が可能なため、日本の主要なエリアであれば提供可能であると考えます。
費用
端末代が税込み5700円程度、加えて毎月500円となっています。
非常にリーズナブルなサービスといってよいと思います。
まもるっく
『まもるっく』は警備会社大手のALSOKが提供する位置情報サービスです。リンクはこちら
まもるっくはGPSを搭載した携帯通報端末です。
端末の通知ボタンを押すと、位置情報がALSOKと保護者に届くとともに、ガードマンが現場に急行するというサービスになっています。
親はスマホやPCにて、インターネット上のALSOKサイトにアクセスし、子どもの位置情報を無料で検索することができるようです。
このまもるっく端末は、ほかのGPSデバイスとは異なり、登録した電話番号に通話することができる機能が付いており、緊急時に本人と直接会話することができる仕様になっています。
ただし、デバイスがやや大きいのと費用が少々かかるところがネックです。
端末リースの場合は月額2000円+初期設定費用4500円、端末購入の場合は月額1100円+26000円となっています。
キャリアのキッズ携帯
大手の携帯電話各社はキッズ携帯を販売しており、いずれにも位置情報を確認する機能が搭載されています。そのため、携帯電話を持つことのできる子どもであれば、購入を考慮してもよいデバイスかもしれません。
しかしながら、子どもが失踪・迷子になるような万が一の状態では、携帯電話を持っていない可能性の方が高いと思います。
そのため、身に付けることのできない携帯電話では位置情報という最も大切な情報を、必要な時に十分に把握することはできないのではないかと考えます。
”現時点”ではGPS BoTが最有力
『子どもに装着することができ、親のスマホで簡単に子の存在位置を把握することのできる位置情報観測機器はあるのか?』
という命題に対する答えを考えますと、デバイスの特性、機能、システム、費用を総合して考えると、Ottaが最も適したデバイスであると私は考えます。
優位点としては、なによりも身体に身に付けることのできる大きさというところです。
しかしながらOttaのサービス提供エリアはまだ狭く、2019年10月現在はまだ一般的であるとはいえません。
ということで、現時点ではGPS BoTが最有力であると考えます。
Ottaは今後全国的に広まるシステムだと思いますので、ぜひとも担当者の方々には励んで頂きたいと思っています!
子を持つ親としては、現時点ではGPS BoTを使用し、Ottaのサービスが住まいの地域で開始されれば乗り換えるという流れでも良いかもしれません。
おわりに
子どもが迷子になっても慌てないように、位置情報観測システム(GPS)について考えてみました。
現時点の選択肢としてはGPS BoTが最有力であると考えます。費用は安価でデバイスは小さく持ち運びがしやすい。サービスの提供範囲が広いというのも利点です。デバイス自体が学習するというのも時代を反映した素晴らしい機能です。
ただし、端末を身体に身に付けて持ち運びをしやすい、という重要な要素に関してはOttaが一歩リードしていると思います。あとはサービスの提供範囲が広がることが課題として挙げられるのかと考えます。
皆様も幼い子どもの位置情報を把握してみてはいかがでしょうか。